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喫茶店で愛される甘美な芸術、プリンアラモードとは?

プリンアラモードとは?

「プリンアラモード」。その名前を耳にすると、なめらかなプリンにカラフルなフルーツ、生クリームが彩る一皿を思い浮かべる方も多いでしょう。
どこか懐かしく、それでいて目にも鮮やか。その甘さと華やかさが、ひと口ごとに私たちを幸せな気分にしてくれる魅惑のデザートです。
実はこのプリンアラモード、意外にも日本で生まれたことをご存じですか?今回は、その誕生秘話と、喫茶店ならではの特別な魅力をお伝えします。

プリンアラモード発祥の地・横浜

プリンアラモードは、1951年に横浜のホテルニューグランドで生まれました。当時、アメリカの海軍将校のために用意されたデザートがその始まりとされています。
「見た目にも華やかで、果物が添えられたものを」というリクエストに応え、ホテルのシェフが考案したのがプリンアラモード。濃厚でなめらかなプリンに、新鮮なフルーツと生クリームを添えた一皿は、瞬く間に人々を魅了しました。
この横浜生まれのデザートは、昭和の喫茶店文化とともに全国に広がり、今では日本中の喫茶店で愛される存在となったのです。

喫茶店文化とともに歩むプリンアラモード

昭和の喫茶店では、プリンアラモードは「ちょっと贅沢なデザート」の代名詞でした。大きなお皿に、美しく盛り付けられたプリンと色とりどりのフルーツ。甘さ控えめのクリームが全体を引き立て、さっぱりとしたフルーツとの相性は抜群です。
食べ進めるごとに、異なるフルーツの酸味や甘味が広がり、最後のひと口まで飽きさせない工夫が詰まっています。昭和当時、多くの人が喫茶店でこの一皿を注文し、友人や恋人と特別な時間を楽しんでいた様子が目に浮かびます。

プリンアラモードの「アラモード」の意味は?

「アラモード(à la mode)」という言葉はフランス語に由来しており、「流行の」「おしゃれな」という意味を持ちます。
フランス語では「à(~の)」「la mode(流行)」という組み合わせで、ファッションやスタイルの最前線を指す表現として使われていました。

しかし、これがアメリカに渡ると、少し異なる意味で使われるようになります。
アメリカでは「a la mode」とは、デザートにアイスクリームやフルーツを添えたスタイルを意味します。このニュアンスが日本にも伝わり、「アラモード」がデザートの盛り付けや彩り豊かなスタイルを表す言葉として定着しました。

プリンアラモードの場合、主役のなめらかなプリンに、カラフルなフルーツや生クリームを添えることで、華やかで「おしゃれ」な一皿に仕上げられています。その名前には、「ただ甘いだけでなく、見た目も洗練されたデザート」という意図が込められているのです。

さらに興味深いのは、「à la mode」のフランス語の発音が「ア・ラ・モード」であるのに対し、英語では「アラモード」と少しカジュアルに発音されることです。この変化も、プリンアラモードが異文化の交わりから生まれたデザートであることを物語っています。

喫茶店のメニューで見かける「アラモード」の一皿には、単なる美味しさだけでなく、歴史や異国文化が織り込まれているのです。そんな背景を知ると、一皿の魅力がさらに深まるのではないでしょうか?

「お気に入りの一皿」を見つけてみませんか?

次に喫茶店でプリンアラモードを見かけたら、ぜひ注文してみてください。ひとつのデザートに詰まった歴史や文化を感じながら、ひと口ひと口、その美味しさを味わってみるのも素敵な時間の過ごし方です。
きっと、見た目の華やかさと甘美な味わいに、心も満たされるはず。そして、次はどの喫茶店でプリンアラモードを試そうかと、新たな発見を求める旅が始まるかもしれません。