都市開発に際して、各エリアの特性を生かしながら質の高い環境を形成する為に策定される計画を指します。 1．目的都市計画法の中で、正確な土地使用の実現を目指し、用途地域、特別用途地区など多種多様なエリア区分の制度が設けられています。それにも関わらず、都市化が進む中で、規制だけでは解決できない問題や不適切な環境が形成される可能性が否定できません。そこで、特定のエリアに対して、土地利用規制と公共施設の整備（道路や公園など）を組み合わせ、都市開発を導く制度が求められ、このために1980年に地区計画制度が創設されました。 2．地区計画の確定地区計画は都市計画の一部であり、都市計画の手続きに従い各自治体により確定されます。具体的には、下記の1）あるいは2）に該当する土地エリアについて地区計画が策定されます。 - 1）用途地域が定められた土地エリア - 2）用途地域が定められていない土地エリアで、下記のいずれかに該当するもの。 - ア）市街地開発等の計画が進行中あるいは完了した土地エリア - イ）建物の構築や敷地造成が無秩序に進行し、またはこれが予想され、公共施設の状況などを考慮すると、不適切な環境が形成される可能性があるもの - ウ）質の高い環境が存在する土地エリア 3．地区計画の詳細地区計画に関しては、地区計画の種類、名称、位置、エリア、面積等に加えて、以下等の詳細情報が定められます。 - 1）地区計画の目指すところ - 2）エリアの整備、開発、保全に関する方向性 - 3）地区整備計画（下記4へ続く） - 4）再開発等の推進エリア（以下5へ詳述あり） 4．地区整備計画地区整備計画とは、地区の施設（道路、公園、緑地、広場等、主に住民への利用を想定した施設）、建築物の整備、土地利用についての計画です。地区整備計画では、道路や公園の整備、建築物の用途制限、容積率の制限、建蔽率の制限、敷地面積の最小値等を詳細に定める事が可能です。ですから、地区整備計画は、都市開発の設計図であると言えます。なお、特殊な状況下で、地区整備計画を定める事が難しい場合、地区計画の一部か全部において地区整備計画を策定しない事も可能です。一部だけ地区整備計画を策定する場合でも、その部分は都市計画に取り込む必要があります。 5．再開発等推進エリア地区計画のエリア内で、都市再開発を推進する場合、地区計画に関する都市計画中で再開発等推進エリアを定める事が可能です。再開発等推進エリアでは特別な事項の定義も可能です。 6．地区計画エリア内における通知制度地区整備計画が定められている地区計画エリアにおいて、土地の区画の特性変更や建築物の建造を行う場合、その行為を始める30日前までに市町村長へ通知しなければならない規定があります。また、用途制限や建築物の形状制限、意匠制限等が規定されている地区整備計画において、これらを変更する行為も30日前の通知が必要とされています。