これは私法の理論上、売主が果たさなければならない一種の無過失責任を指す。1．売主の保証責任売買契約において、売主が自己の義務を果たさなかった場合、民法はその買主が売主に対して債務不履行責任を問うことを認めています。ただし、債務不履行責任を問う事ができるのは、売主に責められる事由（故意や過失）が存在する場合のみです。しかるに、これでは買主の保護が十分ではなく、売買契約の信用性が損なわれる可能性があります。そこで我が国の民法では、売主に責められる事由が存在しない場合でも（つまり、売主が無過失であろうとも）、特定の状況では売主が買主に対して責任を負うと規定しています。この種の売主の無過失責任は「売主の保証責任」と言われています。2．抵当権等が存在する場合の売主の保証責任売主の保証責任には、不動産の売買対象に抵当権等が存在する場合の保証責任が含まれます。これは、売買される不動産に抵当権または先取特権が存在し、その債権者がこれらの権利を行使することによって買主が不利益を被った場合に適用される規定です。具体的には以下のような場合です。1）買主が、抵当権または先取特権の行使により購入した不動産の所有権を失った場合（通常、競売による）は、無過失であろうとも、売主に契約解除及び損害賠償を求めることができます。2）買主が、所有権の保持のために経費を支払った場合（適切に、代金対価の弁済または権利消滅請求に関連した費用）、その費用の返還及び損害賠償を売主に求めることができます。なお、この規定は、買主が抵当権等の存在を認知している場合でも適用されます。