土地は非課税?建物は課税?誰が払う?いつ払う?差額課税とは? この記事で日本の消費税制度を完全理解
日本で住宅や投資用不動産を購入する際、必ず出てくる疑問があります。
• 「不動産購入にも消費税があるの?」
• 「なぜ土地は非課税で、建物だけ課税なの?」
• 「売主が法人と個人では何が違う?」
• 「課税売上が1,000万円を超えると税務上どうなるの?」
• 「買主は消費税を税務署に納めるの?」
• 「将来売却する時、建物の消費税は支払う必要があるの?」
これらの疑問は、一般の購入者だけでなく、投資家、仲介業者、さらには海外の会計士からも多く相談されます。
本記事では、日本の《消費税法》を基礎に、
海外投資家・国内法人・個人事業者全員が理解できるよう、日本不動産における「建物消費税」制度をわかりやすく解説します。
目次
1. 不動産価格は「土地+建物」に区分される
2. 土地が永遠に非課税、建物が課税対象となる理由
3. 建物が課税されるかは「売主が課税事業者かどうか」で決まる
4. 買主は消費税を税務署へ納める必要があるのか
5. 売上1,000万円が重要な理由:課税事業者 vs 免税事業者
6. 不動産売却時、「全部」ではなく「売上税額-仕入税額」の差額課税
① 不動産価格は「土地+建物」に区分される(課税取扱が異なる)
不動産の売買価格は一見「総額」で表示されますが、日本では次のように区分されます。
土地:非課税─法律で消費税の対象外(永続的に非課税)
建物:課税資産─課税の有無は売主が課税事業者かどうかで決まる
▶ 例:総額 5,000 万円の物件
• 土地:3,000 万円(非課税)
• 建物:2,000 万円(うち消費税 200 万円)
→ 消費税がかかるのは「建物部分のみ」
② なぜ土地は非課税?建物は課税対象?
《消費税法》第6条により、土地の譲渡は「非課税取引」と規定されています。
■ 土地が非課税となる理由
• 土地は消費(減価)されない
• 社会的インフラとして扱われる
• 土地価格の高騰を避けるため
■ 建物が課税対象となる理由
• 建物は減価し、消費される
• 物としての価値を提供する「消費」とみなされる
➡ 土地は永久に非課税、建物のみ課税対象
③ 課税かどうかは「売主が課税事業者か」で100%決まる
【A】売主が法人(課税事業者)
• 売却は「事業行為」とみなされる
• 建物価格に 10% の消費税を含める必要あり
例:建物 2,000 万円 → 消費税 200 万円
【B】売主が個人(事業者でない)
‧ 建物は本来課税資産だが、
‧ 売主が課税事業者でないため「不課税」扱いとなる。
※「非課税(土地)」と「不課税(個人建物)」は全く異なる概念
【C】売主が法人でも年商 1,000 万円以下 → 免税事業者
• 消費税の申告義務なし
• 建物売却も「不課税」扱い
④ 買主は国税局へ消費税を納める必要がある?
結論:通常、買主が消費税を直接申告・納付することはない。
• 購入時に支払う金額の中に「建物消費税が含まれている」だけ
• 消費税を国税局に申告するのは 課税事業者である売主
※買主が法人課税事業者であれば「進項税額控除」として扱われるだけで、
買主が消費税を別途納付するわけではありません。
⑤ 年商1,000万円が重要な理由
—課税事業者 vs 免税事業者**
■ 課税事業者(売上 1,000 万円超)
• 建物売却時に消費税(売上税額)発生
• 事業としての家賃収入にも消費税(用途により異なる)
• 国税局への申告義務あり
■ 免税事業者(売上 1,000 万円以下)
• 消費税の申告義務なし
• 建物売却時も「不課税」
多くの海外投資家 → 免税事業者に該当
⑥ 不動産売却時の消費税
—「全部」ではなく「売上-仕入」の差額課税
法人・課税事業者が最も理解すべきポイント。
■ 法人購入時に支払った建物消費税 → 進項税額
■ 売却時に建物価格に含める消費税 → 売上税額
最終的に納めるのは:
売上税額 - 進項税額 = 納付消費税
例:
• 購入時の建物消費税:200 万円(進項)
• 売却時の建物消費税:700 万円(売上)
→ 国税局へ納めるのは 500 万円
• 消費税の「二重課税」ではない
• 差額のみ課税される仕組み
※2023/10 以降はインボイス制度のため、適格請求書が必須
総まとめ
• 土地は永久に非課税
• 建物が課税されるかは「売主が課税事業者かどうか」
• 個人売主・免税事業者 → 建物は「不課税」
• 課税事業者(法人)は建物に消費税を付ける義務
• 買主は国税局へ消費税を納めない
• 法人売却時は「差額課税(売上-仕入)」で計算
• 実務では「総額表示(含税価格)」で交渉するのが一般的
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