おせち料理に用いる「重箱」やお祝い膳をはじめ、どちらかというと「ハレの日」に使うイメージを抱きがちな漆器。普段の食卓で使うには、少し敷居が高いと感じる人もいるかもしれません。
漆器はもともと、日々の暮らしの中で使われてきた道具です。汁椀や飯椀、鉢、皿など、毎日の食事に漆器はなくてはならないものでした。
今回は、日々の暮らしの中で漆器を楽しむヒントをお伝えします。
お正月の祝膳、おせち料理 1777332783
漆塗りの弁当箱 384891496
卵入りスープ 漆器の椀 2118006513
黒漆の皿に盛った秋の抹茶ロールケーキ 2175075960
漆器を選ぶときに確かめたいこと
使い続けることを考えて、持ちやすさや重さなどを確かめる
漆器を選ぶときは、手にしたときの重さや手触り、器の大きさなどを確かめてみましょう。汁椀なら、手に持ったときの収まりや縁の厚みなど、実際に触れてみることでわかることがあります。
実際の使い心地は、使い続けるなかでわかってくるもの。購入する前は、まず自分の手に合う大きさや重さか、毎日使いたいと思えるかなどを基準に選んでみるのもよいでしょう。
漆ならではの表情を楽しむ
漆器は、職人が一つひとつ手作業でつくり上げるうつわ。
同じ色や形でも、手仕事ゆえに表情が少しずつ異なり、そうした違いを楽しめるのも、漆器を選ぶ楽しみです。
深みのある黒や朱、木地(きじ)を生かした仕上げなど、色や塗り方によって印象はさまざま。漆ならではの艶のある仕上げもあれば、艶を抑えたマットな仕上げもあります。
近年では、形や色、質感も含めてデザインの幅が広がり、伝統的なものから現代の食卓になじみやすいものまで、さまざまな漆器が作られています。
また、漆器は陶磁器に比べて軽く、扱いやすいのも特徴の一つ。熱い汁物を入れても器が熱くなりにくいため、手で持ちやすく、中の料理も冷めにくいという性質があります。
料理を盛ったときの見え方も、選ぶ際のポイントになります。うつわの大きさや形、色などを普段の食卓と合わせて考えながら、見た目の好みと使いやすさの両方から、自分に合った漆器を選んでみましょう。
漆器の基本的な扱い方
使った後の手入れが、長持ちにつながる
「お手入れが大変そう」という印象のある漆器ですが、毎回特別な手入れをする必要はありません。
大切なのは、使い終わったら、できるだけ時間を置かずに洗い、柔らかいスポンジなどでやさしく汚れを落とすこと。強くこすると漆の表面を傷めることがあるため、力を入れすぎないようにしましょう。
洗った後は水分をしっかり拭き取り、乾かしてから収納します。長時間水につけたままにすると、木地の傷みにつながることがあるため、洗い桶などに入れたまま放置しないようにしましょう。
また、木地は極端な乾燥にも注意が必要です。暖房器具の近くなど、急激に乾燥する場所に置くと、木地のひび割れなどにつながることがあるため、避けたほうが安心です。
基本は、「使ったらすぐに洗って汚れを落とす」「水分を残さない」「強くこすらない」。特別な作業を増やすというより、それぞれの理由を知ったうえで、使った後の扱いに少し気を配ることが、漆器を長く使うことにつながります。
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電子レンジや食洗機はNG!
一般的な漆器は、電子レンジや食器洗浄機には対応していません。電子レンジによる加熱や、食器洗浄機の高温・乾燥などによって、漆器が傷んだり、変形したりすることがあるため、基本的には使用しないようにしましょう。
ただし、近年では特殊な加工を施すなどして、電子レンジや食器洗浄機に対応した製品もあります。漆器は種類や仕上げによって扱い方が異なるため、購入時の表示や取り扱い説明をよく確認し、その器に合った使い方を心がけましょう。
修繕しながら使い続ける
どれほど丁寧に使っていても、長く使えば細かな傷がついたり、表面の色や艶が変化したりすることがあります。漆器は、使い続けるなかで少しずつ表情が変わっていくものでもあります。
「傷をつけてはいけない」と考えて、使わずにしまっておく必要はありません。傷や漆の剥がれ、欠けなどが生じても、状態に応じて修繕することができます。
《漆器の主な修繕方法》
1. 部分補修
塗りが剥がれたり、傷によって木地が見えたりした部分だけを補修する方法。傷んだ部分を直しながら、もとの器を生かして使い続けることができます。
2. 塗り直し
表面の塗膜(とまく)を研いで落とし、下地から塗り直す方法。傷や色の変化などを整え、状態によっては新品同様の状態に仕上げることも可能です。
3. 割れや欠けの修理
木地に割れや欠けがある場合は、傷んだ部分を補修したうえで塗り直すなど、状態に応じた修理を行います。
4. 金継ぎ(きんつぎ)・漆継ぎ(うるしつぎ)
割れや欠けを漆で接着・修復し、金や銀などを施して仕上げる方法。修繕した跡を隠すのではなく、新たな器の表情として楽しむこともできます。
修繕方法は、傷の大きさや場所、漆や木地の状態などによって変わります。購入した店や製作元、漆器の修繕を扱う専門店などに相談してみましょう。
漆器には、修繕を重ねながら長く使われてきたものもあります。気になる箇所に手を入れて使い続けるだけでなく、全体を塗り直して新品同様の姿に仕上げることもできる。なかには、親から子へ、子から孫へと受け継がれている漆器もあります。
傷つくことを心配してしまっておくのではなく、日々使って、傷んだら直す。そうやって手を入れながら長く付き合えることも、漆器の魅力です。
(まとめ)
漆器は毎日の食卓で使える器です。和食に限らず、サラダを盛ったり、デザートを入れたり、朝食のシリアルに使ったり。料理や食卓に合わせて、自由に楽しめます。
いつもの食卓で使う器として選んでみると、漆器の楽しみ方はもっと広がります。特別な日を待つのではなく、まずは気に入った漆器を普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。








