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【新宿駅】乗降者数でギネス記録を持つ新宿駅。東は歓楽街、西は副都心と異なる顔を持つ新宿エリアの魅力とは

新宿駅――そこは、二面性によるコントラストが強い場所です。
東には日本最大級の歓楽街・歌舞伎町があり、西には東京都庁を中心にビジネス街のある副都心エリアが広がります。
今回は、新宿駅の基本情報から周辺の住みやすさ、歴史や展望、おすすめスポットなどを紹介します。

乗降客数世界一!新宿駅の基本情報

新宿駅はJRや私鉄各線のハブになる巨大ターミナル駅であり、住所もまた東京都新宿区新宿です。

駅直結の大型高速バスターミナル「バスタ新宿」もあり、東京の中でも商業やビジネス、観光の中心ともいえます。

また、2022年の新宿駅における1日の平均乗降客数は2,704,703人で、日本だけでなく世界で最も利用者数の多い鉄道駅(地下鉄を含む)としてギネス世界記録に認定されました。

出典:ギネス世界記録「Busiest station」

新宿駅の平日1日あたりの混雑度は以下になります。

※JR東日本公式サイト「駅混雑状況」およびNAVITIME「混雑予報」より加工して独自に作成
※縦軸の数字により4つの混雑度に分類。非常に混雑している(200~250)、混雑している(150~200)、それほど混雑していない(100~150)、空いている(0~100)

なお、土曜日は17~19時頃が混雑する傾向で、飲食店が多いことから夕食などで利用する人も多いのだと考えられます。休みの人が多い日曜日は12~18時が混雑する傾向にあり、持続的に人が集まりやすいのでしょう。

また、7~8時の通勤ラッシュ時だけでも、新宿駅では全路線で約50万人もが通過するようです。東京都江東区や葛飾区の人口が約50万人ということから、これらの地域の人たちが一斉に新宿駅を通過するイメージとなり、駅の規模の大きさがうかがえます。

新宿駅への乗り入れ路線

新宿駅には、以下の14路線が乗り入れています。

JR東日本
● 埼京線・川越線
● 中央・総武線各駅停車
● 中央本線(東京-松本)
● 中央線快速
● 湘南新宿ライン
● 山手線
● 成田エクスプレス
● 相鉄線直通
地下鉄
● 東京メトロ丸ノ内線
● 都営地下鉄新宿線
● 都営地下鉄大江戸線
私鉄
● 京王線
● 京王新線
● 小田急小田原線

これらの路線を使えば東は千葉、西は松本や塩尻(長野県)、南は小田原や箱根湯本(神奈川県)、北は宇都宮(栃木県)まで一直線でアクセス可能です。

ちなみに、新宿駅周辺には「新宿」と付く駅が9駅もあります。
● 新宿御苑前駅(丸ノ内線)
● 新宿三丁目駅(丸ノ内線、副都心線、新宿線)
● 新宿西口駅(大江戸線)
● 西武新宿駅(西武新宿線)
● 西新宿駅(丸ノ内線)
● 西新宿五丁目駅(大江戸線)
● 東新宿駅(副都心線、大江戸線)
● 南新宿駅(小田急線)

このように、新宿駅はさまざまな路線が乗り入れる巨大な駅ですが、JR新宿駅だけでも1日に約2,400本もの列車が出入りするといいます。京王線や小田急線なども含めると、1日の列車の発着は約6,000本にも上るそうです。

新宿駅から主要駅・空港へのアクセス

新宿駅から主要駅・空港への主なアクセス方法と所要時間を紹介します。
東京駅や渋谷、池袋駅には乗り換えなし・15分程度でアクセスできます。成田エクスプレスが通ることからも、成田空港へのアクセスがしやすいのも新宿駅のメリットです。

● 東京駅:JR中央線(東京方面)で4駅
● 渋谷駅:JR山手線(内回り)で3駅
● 池袋駅:JR山手線(外回り)で4駅
● 羽田空港(第2ターミナル):JR山手線(内回り)の品川駅で乗り換え、京急本線(羽田空港方面・特快)で3駅(羽田空港第1・第2ターミナル駅)
● 成田空港(第1ターミナルの場合):成田エクスプレス(成田空港方面・特急)で3駅(成田空港駅)

新宿駅から直通で行ける観光地

新宿駅からは、以下の人気観光スポットに一本で行ける利便性の高さが魅力です。

在来線(特急)
● 甲府(JR中央線特急かいじ・あずさ)
● 松本(JR中央線特急あずさ)
● 東武日光(東武鉄道特急スペーシア)
● 箱根湯本(小田急ロマンスカー)
● 片瀬江ノ島(小田急ロマンスカー)
● 御殿場(小田急ロマンスカー)
在来線(その他)
● 川越(JR埼京線)
● 宇都宮駅(JR湘南新宿ライン)
● 鎌倉(JR湘南新宿ライン)
● 高尾(中央線快速)

また、西武新宿線西武新宿駅からは、日本の有名なコメディアン・志村けん氏の聖地・東村山にも一本で行けます。
ほかにも、バスタ新宿から以下のような観光スポットへの直通バスが発着します。
● 富士五湖・富士山五合目
● 伊香保・草津温泉
● 飛騨高山
● 仙台
● 軽井沢
● 新潟
● 名古屋
● 京都
● 大阪

新宿駅周辺の特徴とアジア圏の居住外国人が多い理由

長年、新宿駅の存在が東西を分断していましたが、2020年に自由通路が開通したことによって解消されました。駅周辺の街の成り立ちは、東西で大きく異なります。

世界有数のダウンタウン・歌舞伎町を抱える東側には多くの飲食店が並び、連日夜遅くまでにぎわいます。映画館やアミューズメント施設なども複数あり、国内外から多くの人が集まるエリアです。

繁華街の喧騒から少し離れると、都会のオアシス・新宿御苑が広がります。さらに南下するとおしゃれで洗練された“ダガヤサンドウ”(千駄ヶ谷から北参道)も近く、ゆったり過ごせる雰囲気が年代を問わず人気です。

一方で、西側のシンボルはツインタワーが印象的な東京都庁です。都政の中心地であり、東京マラソンのスタート地点でもあります。周辺は京王プラザホテルやヒルトン東京など高級感のあるシティホテルが立ち並びます。オフィスビルを中心とした西新宿は平日夜や週末は比較的落ち着いた雰囲気で、中野坂上や初台などの閑静な住宅地エリアにも近いのが特徴です。

なお、新宿駅周辺の地域の居住外国人の数は以下のとおりです(2024年1月1日時点)。
● 新宿区:43,897人
● 渋谷区:11,935人
出典:東京都の統計「第1表区市町村別国籍・地域別外国人人口 (上位10か国・地域)」

新宿区は、東京都内の居住外国人数が一番多い地域です。特に中国や台湾、韓国国籍の人の割合が多数を占めます。
これは、都内屈指のコリアンタウン・新大久保の飲食店やショップの経営者や従業員などが、新宿区に住んでいるというケースが挙げられます。また、新宿区には日本語学校や早稲田大学があり、留学生数も多くその周辺に住む外国人が多いことも考えられるでしょう。

躍動する東京のハブ・新宿駅ができるまでとこれからの構想

新宿は、17世紀後半に甲州街道の現在の新宿駅周辺にできた新しい宿場町の名称です。甲州街道と交差するこの周辺に初めてできた駅が、日本鉄道品川線(現山手線)の新宿駅でした。

今や世界一の乗降者数に上る新宿駅の姿からは考えられませんが、1885年の開業当初は木造駅舎で1日の電車本数は3本、駅前には茶屋があるだけで人通りもまばらだったそうです。当時の駅舎は、現在のルミネエスト新宿の位置でした。

1889年に甲武鉄道(現中央線)が開業すると、新宿駅は乗り換え駅となります。1906年には駅舎が現在の東口周辺から南口周辺、甲州街道沿いへ移転されました。

1915年には、京王線の新宿駅が「新宿追分駅」として開業します。「新宿追分」という駅名の由来は、新宿追分駅舎の周辺である甲州街道と青梅街道の分岐点が「追分」と呼ばれていたことに起因します。1945年に現在の西口に移転し、新宿駅に改称されました。

小田急線新宿駅が開業した1927年には、新宿駅の1日あたりの乗降客数が日本一となりました。1923年の関東大震災で被害を受けた上野や浅草などの下町から、地盤が安定した東京西部へ移住する人が増えたことにともない、新宿駅の利用者も増えたと考えられています。震災で被害を受けた神田や日本橋などにあった商店が新宿へ移転したことも、駅周辺のにぎわいを生み出した要因だと考えられます。

1964年には、現在のルミネエストである「新宿ステーションビル」が開業しました。そこから現在に至るまで、新宿駅は連日多くの人々が利用する駅となっています。

また、現在新宿駅では「新宿グランドターミナル構想」をはじめとした再開発が予定されています。たとえば、線路上空に東西を結ぶ空中デッキ(スカイコリドー)を計画中。新宿駅の東西をより行き来しやすくなり、新宿駅自体の利便性が一層高まりそうです。

新宿駅周辺の日本文化や自然、エンタメを楽しめるスポット

新宿駅の魅力は尽きませんが、自然や日本文化からエンタメとの触れ合いまで、さまざまな要素を体感できる周辺のおすすめスポットを5つ紹介します。

新宿駅の中にある食事やお土産選びにぴったりな「NEWoMan」

JR新宿駅改札内と改札外、JR新宿ミライナタワーの一部にあるNEWoMan(ニュウマン)は、特にアジア圏を中心とした外国人観光客の来館が多くなっています。ミライナタワーはバスタ新宿に直結しており、高速バス利用前後の食事やお土産選びにも最適です。

改札内にはスイーツやパン、お惣菜などさまざまなテイクアウトのフードショップが入居。そのひとつが、日本で誕生したはちみつの老舗が発信する自然派スイーツショップ「QBG Lady Bear」です。1931年に創業した天然甘味料専門メーカーの直営店で、はちみつをはじめとした自然の甘味の魅力を発信しています。ヘルシーな豆腐のレアチーズケーキや、ビンに入った可愛いケーキ(ジャースイーツ)など、はちみつなどの甘味料の甘さで仕上げたやさしい味わいのスイーツが揃います。

改札外やミライナタワー部分には、多彩な飲食店が入居。ミライナタワー2階にあるオイスターバー「WHARF」では、日本各地の牡蠣を楽しめます。名物は、生・焼き・蒸しのそれぞれの牡蠣と、炙りやなめろうといっためずらしい牡蠣料理が二段に盛り付けられた「牡蠣づくし海鮮タワー」が名物です。

お祭り風フードホールや豪華な映画館などが入る「東急歌舞伎町タワー」

2023年にオープンした東急歌舞伎町タワーは、歌舞伎町エリアにある複合商業ビルです。「好きを極める」をコンセプトに、2つのホテルや飲食店、映画館、劇場などさまざまな娯楽施設が入居します。

東急歌舞伎町タワーの映画館には、リクライニング機能とサイドテーブルが備わり、さらに映画鑑賞中のノイズを極力取り除くようカスタマイズされたプレミアムシートが全席に設置され、ラグジュアリーな体験が可能です。

2階のフードホール「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」では、日本各地のご当地グルメ約2,000種類や韓国料理などを楽しめる飲食店が屋台風に並び、気軽にお祭り気分を味わえます。アメリカやヨーロッパなど世界各地より多くの観光客が集まり、外国人と日本文化が出会う場所として連日賑わいを見せています。

大都会・新宿の街を見守り続けるパワースポット「花園神社」

新宿の総鎮守として、「花園神社」が鎮座しています。徳川家康の江戸開府(1603年)より前から信仰を集めている歴史ある神社です。社殿は火災や戦災により複数建て直されており、現在の明るい朱色の社殿は1965年に建てられました。

開運出世や商売繁盛にご利益があるほか、花園神社内にある「芸能浅間神社」では芸能、「威徳稲荷神社」では夫婦円満や縁結び、子授けにご利益があります。

また、毎年行われる「酉の市(とりのいち)(※)」では、多くの人でにぎわいます。新年の福を呼び込むといわれる、華やかな縁起熊手が売られるのが特徴で、大小さまざまなサイズの熊手が並びます。また、多種多様な出店も並び、お祭りの雰囲気を大いに体感できるイベントです。
※毎年11月の酉の日に、関東各地で行われる開運招福や商売繁盛を願う祭り。

都会の中にほっと一休みできる場所「新宿御苑」

新宿駅周辺の大きな公園といえば、新宿三丁目方面にある新宿御苑。さまざまな形式の庭園が巧妙に組み合わさった、日本初の近代西洋庭園です。

元々内藤家の下屋敷として始まった新宿御苑は、明治時代には内藤新宿試験場として農業技術の研究施設として利用されました。その後、皇室庭園として整備され、戦後の1949年から国民公園として一般に開放されるようになりました。

新宿御苑では四季折々の景色を楽しめます。「日本さくら名所100選」にも選ばれ、苑内には68種の桜があります。2~4月末頃と長期間桜を楽しめるのも、魅力のひとつです。

芝生の一部ゾーンではレジャーシートを敷けるため、景色を眺めながらのんびりとピクニックも楽しめます。都会の喧騒を忘れ、ゆったりとした時間を過ごせるスポットです。

入館料不要で東京の夜景を楽しめる「東京都庁舎展望室」

西新宿方面にある東京都庁の45階には、誰でも無料で入れる展望室があります。

地上202mの高さから、西新宿エリアのビル群をはじめ、東京タワーや東京スカイツリー、さらには富士山なども一望できます。特に夜はきれいな夜景を無料で気軽に楽しめるのも魅力です。外国人観光客向けのツアーでも人気の新宿エリアを見渡せることから、このスポットが組み込まれやすく、連日多くの観光客が集まるスポットとなります。

それって本当?つい人に話したくなる新宿駅に関する豆知識

もうすでに新宿駅周辺について詳しくなったかと思いますが、最後に誰かに語りたくなるような新宿駅に関する豆知識を紹介します。

新宿駅がかつて“東西分断”していた背景

新宿駅の東西分断は、各鉄道事業者が自社の商業施設(ルミネや京王百貨店、小田急百貨店など)に利用者を誘導するための戦略から構成されました。この構造は、駅全体の利便性を損なっていました。

東西分断を解消するため、自由通路が2020年に開通。JR新宿駅内を東西に行き来する際に入場券が不要となり、時間と手間を節約できるようになりました。

新宿駅の自由通路は駅利用者の利便性を高めただけではなく、商業施設やオフィス、ホテルなどが集積する駅周辺地域の活性化にも寄与し、新宿駅の活性化につながっています。

なぜ離れている?新宿駅と西武新宿駅

当初の西武新宿線は、東京西部にある東村山駅と新宿の北方面にある高田馬場駅間の線でした。1952年に高田馬場駅から西武新宿駅へ延伸し、東村山から埼玉の本川越までの線も直通となり、西武新宿線へ改称します。

当初は新宿駅への乗り入れを目指していたものの、設備の関係で新宿駅までの乗り入れ計画は断念されました。1977年に現在の西武新宿駅舎となる駅ビルが完成し、最終的に西武新宿駅は新宿駅から少し離れた位置となったのです。

まとめ

開業当初は人通りも少なく、いまでは考えられないほどこじんまりとした駅だった新宿駅。現在は世界一の乗降者数を誇る駅となりました。
また、新宿駅周辺は東西に異なる顔を持つ複合的なエリアです。東側の歌舞伎町エリアの活気、西側の都庁をはじめとした高層ビル群の落ち着きが共存し、多彩な路線や施設が集積しています。深い歴史を持ちながら今もなお進化し続ける新宿駅は、今後も都市の中心として発展し続けることでしょう。
新宿駅周辺の不動産購入を検討されている方は、本記事で紹介した新宿駅周辺の住みやすさなども参考になさってください。