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【新橋駅】日本の鉄道の原点・新橋駅はどのように発展した?レトロとモダンが融合した街の魅力を紹介

新橋駅――それは、新橋~横浜間で本開業(※)した日本初の鉄道駅の地として選ばれた場所。駅前の「SL広場」には、“鉄道創設起点”を記念してSL(蒸気機関車)が展示されています。
※本開業に先立って、先に品川~横浜間の鉄道が仮開業している。
新橋駅周辺は、ビジネス街のにぎわいと文化の息吹が溶け合うのが特徴です。今回は、新橋駅を通じて、サラリーマンの聖地の文化形成の流れからおすすめのスポットまで、魅力を余すところなく紹介します。

サラリーマンが多く集まるエリア・新橋駅の基本情報

新橋駅は東京都港区新橋に位置し、駅前のSL広場はワイドショーなどでよく街頭インタビューに使用されることで有名です。駅周辺にはオフィス街が多く、さらに気軽に立ち寄れる居酒屋も多いことからサラリーマンが気軽に集まりやすい土地柄といえます。また、テレビ局や大手広告代理店、通信社などの本社もあり、メディア関係者が集いやすいことも理由のひとつとして挙げられます。

このことからも、新橋はサラリーマンの聖地としても有名です。新橋駅周辺には老舗企業や有名企業が多く集まるほか、内幸町や虎ノ門、霞ヶ関などのビジネス街が近いことがその要因といえます。

このように、ビジネスマンが多く集まるエリアということからも賃貸需要が比較的安定している傾向にあります。特に、大手企業やメディア関連の企業が集まっていることからも、高所得者向けの住宅需要も見込まれるでしょう。

2022年度に国土交通省から発表された駅別乗降客数データによると、2021年の新橋駅における平均乗降客数は1日あたり334,812人で、JR東日本では9番目に多い駅となります。

出典:国土交通省 国土数値情報ダウンロードサイト「駅別乗降客数データ」
出典:統計情報リサーチ「新橋駅(JR東日本)の乗降客数の統計」

新橋駅の平日1日あたりの混雑度は以下のとおりです。

※JR東日本公式サイト「駅混雑状況」およびNAVITIME「混雑予報」より加工して独自に作成
※縦軸の数字により4つの混雑度に分類。非常に混雑している(200~250)、混雑している(150~200)、それほど混雑していない(100~150)、空いている(0~100)

朝のラッシュ時は東京駅や品川駅と比べるとそんなに混雑していない傾向にあります。これは新橋駅周辺に通勤する人の中に、汐留駅や虎ノ門駅、内幸町駅などを利用する人に分散されることが考えられます。また、23時頃には混雑度が少し上がることから新橋駅周辺の飲食店で楽しんだ人たちが終電間際に一斉に帰る傾向にあるのでしょう。

新橋駅への乗り入れ路線

新橋駅への乗り入れ路線は、全部で7路線です。

JR東日本
● 東海道線
● 上野東京ライン(常磐線)
● 山手線
● 横須賀線
● 京浜東北線・根岸線
地下鉄
● 東京メトロ銀座線
● 都営地下鉄浅草線
私鉄
● ゆりかもめ

これらの路線を使えば、東は押上や豊洲(東京都)、西は渋谷や新宿(東京)、南は熱海(静岡県)、北は宇都宮(栃木県)や高崎(群馬県)まで一直線にアクセスできます。

都内なら浅草(銀座線)やお台場、東京ビッグサイト、豊洲(ゆりかもめ)、北千住(常磐線直通東海道本線)などにも乗り換えなしの直通で到達可能です。

また、新橋駅から徒歩15分圏内には霞ヶ関駅、日比谷駅、東銀座駅、内幸町駅、銀座駅があります。これにより東京メトロ日比谷線(直通の東武スカイツリーライン)や丸の内線、都営三田線(直通の東急目黒線、東急新横浜線)も利用しやすいのがポイントです。

新橋駅から主要駅・空港へのアクセス

新橋駅から主要駅・空港への主なアクセス方法と、所要時間を紹介します。

● 東京駅:上野東京ラインで1駅
● 渋谷駅:銀座線で7駅
● 新宿駅:山手線(外回り)で12駅
● 池袋駅:山手線(内回り)で14駅
● 品川駅:上野東京ラインで1駅
● 上野駅:上野東京ラインで1駅
● 羽田空港(第2ターミナル):京急本線直通浅草線(羽田空港第1・第2ターミナル駅方面)で14駅
● 成田空港(第1ターミナル):京成成田スカイアクセス直通浅草線(成田空港方面・アクセス特急)で19駅(成田空港駅)

山手線の上野や品川にも近く、アクセスしやすいエリアとなっています。浅草線が通っているため、羽田空港と成田空港にも直通でアクセス可能です。

新橋駅から直通で行ける観光地

新橋駅からは以下のエリアへ一本でアクセスできます。

東海道本線
● 熱海
● 沼津
● 伊東
● 宇都宮

横須賀線
● 鎌倉
● 横須賀

また、東京駅や品川駅にも近いため新幹線も利用しやすく、羽田空港や成田空港にも直通でいけるため、国内外各地へのアクセスもしやすい駅となります。

昔ながらの飲食街と先進的なビル群で対比する新橋駅周辺は外国人も住みたくなるエリア

JR新橋駅周辺は、線路を挟んだ西側と東側で雰囲気が少し異なります。

西側には、霞が関や虎ノ門へ続くオフィス街が広がります。烏森口を出てすぐの古くから親しまれる商店街・新橋西口通りには、気軽に立ち寄れる飲食店が多く並び、特に平日夜は仕事帰りのビジネスマンで活気があふれるエリアです。一方でスーパーやドラッグストア、クリニックなども多く、生活環境が整っています。

東側には、かつての旧新橋停車場跡地を再開発した先進的な複合都市・汐留シオサイトが広がります。大手企業の本社ビルやテレビ局、シティホテルなどが並ぶほか、住宅や商業施設なども揃う空間です。昼はオフィス街として多くのビジネスマンが行き交いますが、夜や週末は比較的落ち着いた雰囲気となります。

2024年1月時点で、新橋駅エリアの港区には21,278人、中央区には10,370人の外国人が暮らしています(出典:東京都の統計「第1表区市町村別国籍・地域別外国人人口 (上位10か国・地域))。

新橋駅は日本ならではの文化である築地場外市場や歌舞伎座などに近く、外国人に人気のハイブランドショップが揃う銀座に近いことからも、外国人が住みたいと思えるエリアだと考えられます。

日本の鉄道の原点・新橋駅のこれまでとこれから

1872年、新橋~横浜間で日本初の鉄道が正式開業したことによって、新橋駅は誕生しました。なぜ新橋から横浜までをつないだのかというと、新橋からほど近い築地と横浜に外国人居留地が存在したことから、路線の利用者が集まりやすかったためだといわれています。

初代新橋駅は当初、新橋より北方面の上野駅まで南北につなぐ高架鉄道の建設が計画されていました。ですが、ここでひとつ問題が起こります。初代新橋駅は行き止まり式構造である上に、北側には銀座の繁華街があるためそこを貫いて延伸することができなかったのです。そのため、初代新橋駅とは別に上野へ至る線路ができました。それが、1909年に開業した烏森駅――現在の新橋駅です。

1914年になると初代の新橋駅は汐留駅に改称され、荷物列車と貨物列車の専用駅となりました。今ではガラス張りが特徴の近代的なビルが立ち並ぶオフィス街となっていますが、当時の汐留貨物駅は物資の集積地でした。時代とともに新橋駅は位置も姿も変化し、現在は山手線や東海道線など複数路線が乗り入れるターミナル駅へと進化を遂げたのです。

着々と変化した新橋駅は、これからも新たな要素を取り巻き進化し続けています。港区では2019年に「新橋・虎ノ門地区まちづくりガイドライン」を策定し、新橋駅周辺のまちづくりを計画的に進めることを決めました。このガイドラインには、新橋らしい路地空間の活性化や街並みの継承、歩行者中心の空間づくり、イノベーションの推進を支える空間づくりなどが盛り込まれています。

さらに、新橋駅前にある二大ビル・新橋駅前ビルとニュー新橋ビルは竣工から50年以上経過しているため、再開発が検討されています。これらのビルには昭和レトロの雰囲気が漂う飲食店が多く入り、特に平日は仕事帰りのビジネスマンが多く行き交うのが特徴です。解体して建て直すとなると、街も先進的な雰囲気にガラッと変わりそうですね。

2023年には再開発エリアの遊休地を活用し、新橋エリアの「にぎわいの拠点」として待ち合わせや休憩、イベントに活用できる木造の「新橋ぷらっとホーム」がオープン。使用している木材の一部は、新橋エリアの再開発における新設建物へ再利用することを予定しており、持続可能な社会の実現に貢献しています。
これらの取り組みによって、新橋駅周辺はより利便性の高い駅として発展し、これまでの新橋の雰囲気を残しながら先進的な雰囲気も共存する魅力的な街へと生まれ変わることが期待されています。

新橋駅エリアを体感できる5つのスポット

新橋駅周辺には、駅と同じく歴史を刻むスポットから、比較的新しく現在もその価値を十分に発揮し続けるスポットまで多数存在します。その中から、新橋ならではの魅力が詰まった5つのスポットを紹介します。

サラリーマン好みの独特な雰囲気を味わえるグルメ・リラクゼーションスポット「ニュー新橋ビル」

SL広場前に建つニュー新橋ビルは、1971年に竣工した50年以上の歴史を持つ大型テナントビルです。主に飲食店や雑貨店、金券ショップ、マッサージ店が入居し、中高年のビジネスマンをターゲットにしていることから「おやじビル」という愛称を持ちます。

お手頃価格で楽しめる飲食店が多く、ランチ時も仕事が終わる夕方以降も周辺のビジネスマンを中心に多くの人でにぎわいます。地下にあるレトロな喫茶店「喫茶フジ」は、創業30年を超えてもなお、昔ながらのナポリタンやエビピラフ、ホットケーキなど喫茶店の味をリーズナブルに楽しめるお店です。

昭和レトロな飲食店が立ち並ぶサラリーマンの歓楽街「新橋西口通り」

烏森口からすぐのところにある新橋西口通りは、飲食店が多数並び、昭和を彷彿とさせる雰囲気を持つ商店街です。ビジネスマンの仕事終わりの歓楽街といえば、ここだとイメージする方も多いかもしれません。

夜は特に人出が活発になり、平日は各方面への終電近くとなる23時頃まで多くの人でにぎわいます。昼から営業しているお店もあり、ビジネスマンだけでなく周辺住民もふらっと立ち寄り飲食を楽しめるエリアです。

雑踏の中にひっそりとたたずむ芸能・癌封じのご利益で有名な「烏森神社」

烏森神社は、新橋の中心に鎮座する平安時代の940年に創始した歴史を持つ神社です。小さな神社ですが、知名度の高さから連日参拝客が訪れます。

商売繁盛や家内安全などから、珍しいところで芸能や癌封じにご利益がある神社として知られています。なぜ癌封じにご利益があるのかというと、1657年に発生した明暦の大火(江戸の大半が焼失した大火事)の際、烏森神社だけは延焼を逃れたことから人々に「災厄を封じ込める」と言い伝えられ、癌封じのご利益に結びついたとか。

烏森神社を含む新橋駅周辺はかつて「武蔵の国・桜田村」と呼ばれており、江戸湾の砂浜と松林が広がる地帯でした。そのため、当時このエリアは「枯州(からす)の森」や「空州(からす)の森」と呼ばれていたようです。さらに、この松林にはカラスが多く集まり巣を作っていたことから、「烏の森」とも呼ばれるようになったとのこと。これが神社の名称となっている「烏森」の由来です。

烏森神社では毎年5月上旬に神輿(みこし)や山車を出す例大祭が行われます。2年に一度、大きな神輿(本社大神輿)が出ることも有名です。

また、新年や節分、ひなまつりなど季節ごとにデザインが変わる御朱印は、神社・御朱印ファンの間でも注目が集まっています。

テレビ局ながら一般の人も楽しめるスポット「日本テレビタワー」

日本テレビタワーは、汐留口にある32階建ての超高層ビルです。日本国内で最初に開局した民放テレビ局「日本テレビ」の本社であり、番組を制作するスタジオが入ります。

元々日本テレビの本社は千代田区麹町にありましたが、デジタル放送に対応するため、2003年に日本テレビタワーに移転。ちなみに、この移転によって在京民放キー局(日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)がすべて港区に本社を構えることになります。

日本テレビタワーにはスタジオ以外にも、多目的ホールや公共広場、日本テレビのグッズなどを販売するショップなどがあります。情報の発信地となるだけでなく、周辺住民やビジネスマンの憩いの場ともなっているスポットです。

当初の新橋駅を忠実に再現!歴史を感じられるスポット「旧新橋停車場」

新橋駅の原点は、「旧新橋停車場」として当時と同じ場所に再現されています。1990年代に汐留の再開発が実施される前に埋蔵文化財の発掘調査が行われ、そこで新橋停車場の基礎やプラットフォームの遺構が発見されました。

当時の駅舎は、旧新橋停車場が汐留駅となった後に発生した関東大震災により焼失してしまいます。ところが、発見された建物の鮮明な写真などをもとに、当初と同じ位置に当時の駅舎の姿が復元され、2003年に「旧新橋停車場」として開館。駅舎の中は、誰もが気軽に立ち寄れる無料の展示室となっています。日本の鉄道開業の地・旧新橋停車場周辺の歴史をはじめ、日本の鉄道の長い変遷を辿ることができるスポットです。

長い歴史を歩む新橋駅の知られざる豆知識

鉄道駅の中で長い歴史を持つ新橋駅には、知られざる情報があります。その歴史から驚かされる新橋駅の雑学を2つ紹介します。

日本初の鉄道駅の地に新橋駅(汐留)が選ばれた理由

日本初の鉄道駅として汐留の地が選ばれた理由は、仙台藩・龍野藩・会津藩という3つの旧大名の屋敷跡として広大な土地があったことから、駅を建てるのに十分だったことがまず挙げられます。汐留は平坦な土地であり、東京の中心地に近く、交通の便が良かったことからも駅の建設に適していたのです。

また、汐留エリアには銀座や烏森といった街が発展しており、人口密集地が存在していたことも、駅の利用者を多く獲得できるのではないかと考えられ、日本初の鉄道駅として選ばれたともいわれています。

SL広場の蒸気機関車は実際に新橋駅を発着していたわけじゃない?!

※写真はイメージです。

新橋駅前のSL広場に誇らしげに展示されているのは、「C11形蒸気機関車」です。実はこの車両、新橋駅を発着したことがありません。

元々、C11形は姫路機関区(兵庫県)に所属し、中国地方の路線で活躍していた逸話があります。日本車輌製造によって1945年に造り上げられ、引退まで姫路機関区に忠実に仕えました。

1972年、日本の鉄道開業100周年を記念して新橋駅前でC11形の展示が決まりました。展示されることになった理由は、その状態が良かったためだと考えられています。実際にC11形が引退したのは1972年8月で、新橋駅に展示され始めたのは同年10月。C11形自身、引退直後に自らが走ったことのない地に展示されることになるなんて、思ってもいなかったでしょう。

まとめ

まとめ
新橋駅は、歴史と革新が共存する場所。昭和の雰囲気が残る商店街と近代的なビルが足並みを揃え、多様な文化や風景が交錯し、常に進化を続けるエリアです。新橋駅周辺の魅力はこれからも広がりを見せることでしょう。

新橋駅周辺の不動産購入を検討されている方は、本記事で紹介した新橋駅の利便性や駅周辺の住みやすさなども、ぜひ参考にしてください。